ローカルな汚染から地球規模の危機へ:シヴィライゼーション・シリーズが教えてくれる気候変動の見方

なぜいちごブルームがビデオゲームについて書くのか?それは、今月初めに代表のステファン・ルデュNerd Nite Tokyo に登壇し、グラフや政策レポートではなく、世界的に有名なストラテジーゲーム「シヴィライゼーション(Civilization)」を通して気候変動について語ったからです。このトークでは、30年以上にわたるシリーズの中で「シヴィライゼーション」がどのように汚染・エネルギー・気候システムを表現してきたのか、そしてそれが社会の気候意識の変化をどのように映し出してきたのかを探りました。

社会とともに進化したゲーム

1991年に発売された『シヴィライゼーション I』の時代、気候変動はまだ一般的な議論の中心ではありませんでした。それでもゲームの中にはすでに「汚染」と「地球温暖化」という概念が登場していました。
都市が工業化するにつれ、マップ上に黒いアイコンが現れます。汚染が増えすぎると、地形が砂漠や湿地に変化する――非常にシンプルながら、ローカルな汚染がグローバルな影響をもたらすという早期の表現でした。

2001年の『シヴィライゼーション III』では、その概念がより成熟しました。汚染が発生すると「世界全体の汚染プール」に数値が加算され、一定の閾値を超えると地球温暖化が発生します。局所的なクリーンアップは効果があるものの、全体の被害は元に戻せません。ローカルな行動が不可逆的な地球規模の結果を生む――そんな考え方がゲームデザインとメッセージの両面で取り入れられたのです。

2005年の『シヴィライゼーション IV』では、汚染が市民の「健康」に影響を与えるようになり、環境破壊と人間の幸福をつなぐ要素が追加されました。森林は自然の「治療薬」として機能し、生態系を守ることが社会の安定につながることを示しています。これは現在でいう「自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)」の先駆け的な表現と言えるでしょう。

しかし2010年の『シヴィライゼーション V』では、このテーマが完全に姿を消します。石炭・石油・ウランなどの「戦略資源」が産業発展の鍵として登場しますが、環境への影響は一切描かれません。現実世界ではCO₂排出量が議論され、パリ協定の準備が進むなか、ゲームの世界は生産効率の最適化に夢中でした。

そして約10年後の2019年、『シヴィライゼーション VI: Gathering Storm』で気候変動が劇的に復活します。史上初めて、各文明がCO₂排出量を可視化し、誰がどれだけ汚染しているかを追跡できるようになりました。気候変動は段階的に進行し、嵐や干ばつ、洪水、海面上昇などの被害が発生します。沿岸タイルは永久に沈むこともあります。プレイヤーは再生可能エネルギーや二酸化炭素回収によって排出を減らしたり、ダムや防潮堤、「シーステッド」などで都市を守ることができます。さらに「気候外交」も導入され、排出削減によって外交的勝利ポイントを獲得することも可能になりました。

それは教育的であり、象徴的でもありました。このメインストリームのゲームは、気候変動が「地球規模で、全員に関係し、トレードオフに満ちている」ということを何百万人ものプレイヤーに伝えたのです。

現在発売されたばかりの『シヴィライゼーション VII』では、デザインが簡略化され、今のところ気候変動の要素は登場していません。しかしステファンが Mediumの記事 で書いているように、その「空白」は印象的であり、ゲーム開発者が“わかりやすさ”と“現実性”、そして“責任”をどうバランスさせるかという重要な問いを投げかけています。

いちごブルームにとっての意味

いちごブルームは、「持続可能性の学び」はインタラクティブで、感情に響き、協働的であることが大切だと考えています。サイエンスに基づいたワークショップでも、意外な題材のビデオゲームでも、目指すのは同じです。人と自然、行動と結果、個人と社会のつながりを“体感”すること。

私たちは クライメート・フレスク生物多様性コラージュプラネタリー・バウンダリーズ・フレスコデジタル・コラージュ などの参加型ワークショップを通して、データを会話へ、そして気づきへと変えていきます。

また、企業・学校・自治体など向けに、ビジネスやデザイン、文化を切り口としたカスタム講演や研修も企画しています。今回の Nerd Nite Tokyo でのトークも、「遊びと文化を通して気候変動を考える」その一例です。

私たちのアプローチはシンプルです。確かな科学と人間の創造性を組み合わせ、「持続可能性を“理解する”だけでなく“感じられる”ものにする」こと。詳しくはぜひ ichigobloom.jp をご覧ください。

いちごブルームは、気候変動と生物多様性のコラボレーション・ワークショップ「クライメートフレスク」や「バイオダイバーシティコラージュ」を開催し、組織内の意識向上と変革のきっかけを提供しています。